カンクン大会から昨日帰国しました。
そのレースリポートをお送りします。
また今日ニュープリモス大会に向けてニュージーランドへ出発します。
ワールドカップ戦、メキシコで開催されたカンクン大会、今回も80名のフルエントリーで行われた。
場所は、近年リゾート地で注目されているカンクンの郊外。ホテル街とは違った波の穏やかな場所で、バイク、ランコースもフラットで走りやすい。
さすが、リゾート地とあって、気温も20℃から30℃と温暖、水温も26℃から28℃と過ごし易い。レースだとこの気温は選手にとって暑くなり、サバイバルレースと化する。しかし、今年は異常な気候で滞在中ずっと天気が悪い。レース当日も雨風が強く、雷も鳴り、少し肌寒い嵐のような天気となった。
スイムはビーチからのランニングスタート。最近ワールドカップでは、バトルを避けるためと、観客からの見た目の良さを目指すため、ポントゥーンからのダイブスタート方式を取っている。しかし、そのような施設の取れない場所などは、仕方なくランニングスタートとなる。
カンクンのビーチは遠浅で、20mくらいドルフィニング(イルカのようにジャンプしながら進む)で行ける場所だ。このような所は脚の長い選手にとってはかなり有利であるが、体がどっぷり浸かってしまう脚の短い選手はかなり不利になる。選手の中では私は後者になるので、スタートダッシュには痛手だ。
世界ランキング順からコールされ、自分の好きな位置に陣取る。第一ブイの最短距離を取るのが大体のセオリーであるが、中には大外からまくるのが得意な選手もいる。今回は右から順に選手が取っていくだろうと予想していたが、全く予想がはずれ左から順に埋まっている。少々迷ったが、大体、世界ランキング上位選手はスイムが速い選手が多いので、強いものに巻かれることにした。
コール後走って入場し、自分のスタート位置を確保。膝下くらいの浅さに設置された柵と柵の間に入る。選手全員1人1人柵で仕切ってある。競馬の競走馬の気分が味わえた。
レースナンバーは49番なので、ほぼ真ん中からスタート。バトルに巻き込まれたらどちらにも逃げ道が無く、危ない場所ではあるが、逆に言うと、左右に分かれても速い集団を選んで泳ぐことができる。
レーススタート。隣のでかい選手に案の定置いていかれ、2mくらい差がつけられる。どうやったってスタートダッシュではこれでは勝ち目が無い。開き直り、力を温存するためその選手の後ろに付き、周りを見ながら後ろに付く選手を取り替える。第一ブイまで役500m。いつも第一ブイまでの位置取りが勝負だ。
隣にいる選手の肘が顔面を直撃する。前に居る選手の後ろに付いたほうが水流があり楽なので、後ろの選手はほとんど前の選手の恩恵を受けようと集まってくる。右目のゴーグルを強打!真っ直ぐに当たったので、ゴーグルのクッションで難を逃れる。続けざまに2発目。今回は目の上に直撃。その衝撃でゴーグルがずれ、水が入り右目が水で見えなくなった。これはやばいと思ったが、強気でその場所を譲らずに泳ぐ。今度は自分の手のひらが相手の頭をかすめる。子供の頃ふざけて友達をひっぱたくような感じで、頭をパッシュと当たった。これを感じたのか、その後その選手からの肘打ちは無くなった。わざとパンチする選手はほとんど居ないが、レベルの拮抗した選手が同時に泳ぐと、どうしてもこのような状況が出てくる。しかし、今回の1発は効いた。血は出ていないか一瞬気になった。
その強気が功を奏したのか、バトルに逢いながらも集団中ほどで上陸。バイクへ向けてビーチを走る。
バイクラックに行くと、80台分の自転車が並んでいるので、自分の自転車を見過ごさないように番号を見ながら走る。
ハンガリーのレンカ・ラドバという女性の選手と話したが、彼女は同様に自分の名前を見ながら走っていたところ、自分の所に来ても見つけられずに通り過ぎて時間をロスしたことがあるという。そのときは彼女は結婚した直後で、名前が変わったので見落としてしまったらしい。
気をつけないと、スイムからバイクへの数秒は集団を落としかねない差になる。
我々の居るところは、前と少し差が開いていたらしく、ペースが落ち着いた頃には第一集団と我々第2集団とに分かれていた。我々の後も2,3グループに分かれているのを折り返しで確認する。
平地コースで、前の集団が見えることができれば追いつくのは確率が高い。集団の士気が上がるからである。今回直線コースなので前が見える。
バイク7周回のうち、2周回で前に追いつく。逃げが成功しなかったからか、その後第一集団のペースも安定し、後ろの集団全部が一緒になり、役70名の選手が一緒になった。最近のレースでは珍しい展開である。
道路2車線を使ってのコースだが、スピードが落ちると隣の選手に当たりそうになるくらいギュウギュウになる。
突然の豪雨。前が見えないしブレーキも効きにくくなり、かなり危険な状態となる。その状況でも、集団のペースは下がらずにレースが進む。あまりに雨のひどさに、頭を下げて下を見ながら走った。コースの半分はこのような状況で、残り半分は全く雨が降っていない。雨との境界をチョークで引いたかのようにガラリと天気が変わる。
バイク残り数キロはランに移るための場所取り合戦が始まる。後ろでトランジットに入ったとしたら、1人0.5秒で単純計算して、70人で35秒の遅れになる。このロスを出さないためにも、必死に前方をキープ。それでも、トランジット直前でかなり抜かれ、ランに入ると、20位くらいからのスタートとなる。
70人の集団の前方とはいえ、バイクラスト1周で数人が抜け出し逃げている。それも捉まえながら順位を上げて行きたい。一気に加速し、15位くらいで流れに乗る。
次第に気温が上がってきた。体感で26℃くらいまで上がっているだろうか。
給水はペットボトルではなく、小さいポリ袋に入った水が渡される。手に取ると手か口で穴を開けて飲む。私は八重歯なので、口で噛み切って空ける。八重歯があると空けるのは楽だが、そうでない選手にとっては、力ずくで空けないといけないので大変であろう。これはカンクン大会特有の給水方法。何回も噛み千切っていると、ポリ袋の切れ端が口の中に残ってしまう。
袋に入った水は、渡されると弾みでポンポン跳ねるのでたまに取り損なう。取れる確立は8割2分か。しまいには両手で抱きかかえるように受け取る。そうすると確率は9割1分まで上がった。
4周回のうち3周目、かなりバテてきた。水を取れる確率が上がっても、確実に体力は消耗していて、あとは気力で走る。ズルズルと30位後半まで落ちる。
この頃になると、他の選手も暑さでスピードが落ちてくる。スピードは皆無くなってきているので、選手同士の根競べだ。涼しいレースはスピードで押し切ってしまう選手が有利だが、暑いレースは根性で押し切れる面があるので、辛さは倍増するがその分私は面白く感じる。
残り500m、3,4人の後方集団に捉まり抜かされる。ここまで前を走って引っ張ってきたのだから、最後は是が非でもこれらの選手には勝ちたい。
その中に地元メキシコ選手が混じっている。地元選手とあって会場の声援が凄い。日本人選手やスタッフを中心に私も応援してもらうが、明らかにメキシコ選手は観客を見方にし、完全に私は
アウエーに来ていると実感する。彼は凄い勢いでスパートして行った。
私も何人か抜いてフィニッシュ。最後、メキシコ人に勝てなかったが、最近できなかったピリッとスパイスの効いたラストスパートが出てきた。
順位は34位。前方集団でランスタートという展開に持ち込めたが、34位止まりはお世辞にも満足とは言えな。だが、50位までに付く北京オリンピックへのポイントを獲得できたのは、少しでも前進できた。今年初の北京オリンピックポイント獲得。
来週は今年の最終戦。ニュージーランドで行われるワールドカップニュープリモス大会。一旦日本に帰り、翌日ニュープリモス入りするという2日かけての大遠征になるが、この波に乗りまた上位に向けて挑戦して行きたい。
皆さん、来週もご声援をよろしくお願いします。